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「制作」と「製作」の使い分け

「制作」と「製作」の使い分け
author : Makoichi
日本語って難しい。
最近そう思ったのは、舞台や映像関係など芝居関係の製作(制作)に関わるようになって、一つの疑問が浮かんだからだ。

「せいさく」には二種類の漢字がある。
「制作」と「製作」
これってどう違うのだろう・・・?

オンラインの三省堂辞書で調べてみた。

制作:(芸術)作品を作ること
製作:物品を作ること

ふむふむ。
もう一つ私の持っている「日本語使い分け字典」で調べてみる。

制作:芸術作品(絵画、工芸品、展覧会の出品作品など)
製作:実用的で量産できるもの(精密機械、器具など)

なるほど。
とゆ~ことは、舞台や映画は芸術作品であるので「制作」と表記するのが正しいのかな?

しかし、それでは納得のいかないことがある。
映画のDVDやビデオのパッケージをいろいろみてみると「製作」の文字が多いのだ。
映画は芸術ではないのだろうか?

実はこの「日本語使い分け字典」には続きが書いてあった。

「映画、レコード、演劇、放送、テレビ、ドキュメンタリー番組などは内容により使い分ける」

そして例が一つ載っている。

芸術映画の「制作」
娯楽映画の「製作」

はい。だんだん雲行きが怪しくなってきました・・・。
そもそも芸術映画と娯楽映画の境界って何?って話になる。
それにこのたった一つの例だけでどう理解しろと??(--;)

このままでは埒があかないので今度は業界関係に重点を絞って「制作」と「製作」の違いを調べてみる事にする。

制作:作品を作る為の実作業
製作:作品の企画、資金調達、出資、制作、宣伝、興行全般

つまり、作品そのものを作る人を「制作」といい、その作品に関わる(協力者を含む)すべての人を「製作」と表記する。
「製作」の中に「制作」があるという関係。
会社単位になると「制作」よりも「製作」の方が立場が上。

「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」などの3DCGアニメを例にあげてみる。
これらの作品は「ディズニー映画」と勘違いしている人も多いようだが、表記するとこうなる。

制作:ピクサー(作品制作の実作業)
製作:ディズニー(出資、配給協力)

この場合ディズニーは作品を作ってはいない。だから正確には「ピクサー映画(アニメ)」が正解となる。
でも偉いのはディズニーって事(笑)

口で話すと両方とも「せいさく」。
だからこういう業界で「せいさく」の話をするとややこしくなるので使い分けがあるらしい。
「制」と「製」は漢字で表すと足に「衣」があるかないかの違い。
だから話をする時は「衣有り製作」「衣無し制作」と口にするようだ。(映像業界すべての共通語じゃぁないみたいだが^^;)

ほほぅ、勉強になりました。
この違いを知っておくと映画やTV番組のエンドロールなどで、製作(制作)会社の関係が解ったりして、面白いかもしれません。

ちなみに私は今まで良く解っていませんでした。
どこかのページに「製作進行のアシスタントをしていた」と書いた事があるが、正確には「制作進行」の間違いでした(爆)

う~ん、言葉って難しい・・・(^^;)

せいさく【製作・制作】

( 名 ) スル

①道具や機械などを使って,物品を作ること。

②「 制作 」に同じ。 「娯楽番組を-する」 〔同音語の「制作」は芸術作品や放送番組などを作ることであるが,それに対して「製作」は,主に道具や機械を使って物品を作ることをいう〕