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「顔」のコラボレーション研究~日本顔学会~

「顔」のコラボレーション研究~日本顔学会~

 「はい、チーズ!」という掛け声をわざわざ出さなくても、被写体が笑顔になった瞬間にシャッターが自動的に切れる。そんなデジタルカメラが登場して、話題を呼んでいますね。カメラが笑顔の瞬間をとらえるためには、当然「笑顔とは何か?」という分析が必要です。このメーカーでは、国内だけでなく世界各国から数多くの笑顔を集め、そこから「目じりが下がる」「笑いじわ」など独特の笑顔の基準を作り出し、データベース化して「笑顔検出機能」を開発しました。

 この「笑顔研究」に見られるように、今、さまざまな分野で『顔』に大きな関心が集まり、研究開発が進められています。中でもユニークなのが、「日本顔学会」です。「人にはいったい、なぜ『顔』があるのか」「『顔』の役割は何か」「『顔』からどんな情報が読み取れるか」「日本人の『顔』のルーツと未来像」…。こういった『顔』に関するさまざまな問題に、あらゆる分野の人々がコラボレーションして取り組もうと、1995(平成7)年3月に誕生しました。

 およそ500年前、レオナルド・ダ・ヴィンチはたった一人で、絵画、彫刻、建築、土木などさまざまな研究に取り組みました。現代では、各分野が著しく専門化され、そこで蓄積された知識や技術は膨大な量になり、一人であらゆる分野をカバーすることは、不可能に近くなっています。そこで、『集団でダ・ヴィンチを目指そう!』というコンセプトのもとに、哲学をはじめ人類学、心理学、生理学、美術解剖学、化粧学、歯科審美、犯罪捜査、社会学、コンピュータ科学、そして伝統芸能…などなど、実にさまざまな分野の人々が参加して、
活動を行っています。
 現在、会員数は約800人。女性会員も多く、研究発表の場フォーラム顔学」や一般向けのシンポジウム開催や情報交流のための学会誌発行など、多彩な活動を展開しています。

 日本顔学会会長の原島博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授)さんは、顔についてこのように語ってくださいました。


 「笑顔と健康の因果関係」も手付かず状態で、これから取り組まなければならないテーマの一つです。
 また、今、私たちが注目しているのは「似顔絵」。なぜ関心を持つかについては、「人は、いかにして顔の印象をとらえるか?」という、顔認知の基本問題と密接に関係する、今日的テーマだからです。先日行われた学会フォーラムで、似顔絵のプロが、「ふだん、どのように似顔絵を作成しているか」実践的な発表を行い、会員たちの関心を集めました。今後の研究成果が待たれるところです。』----

 毎日、自分、そして他人の顔を見て暮らしていますが、まだまだ『顔』には謎がたくさんあります。顔研究の成果がさまざまな分野で活かされ、私たちの生活で実用化されていくことを期待したいですね。