不動産売買にかかる消費税
不動産売買にかかる消費税
土地の売買は非課税取引です。土地は消費されるものではなく、その譲渡(売買)は、資本の移転の一種と考えられるためです。なので、土地取引に消費税は課税されません。
売主が不動産会社・課税事業者であれば課税されます。売主が個人なら非課税です。
なお、賃貸については、事務所家賃は課税対象ですが、住宅用家賃は貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税です。
2004年4月から価格表示は、消費税を含む総額表示方式が義務付けられましたが、2013年10月1日に、「消費税転嫁対策特別措置法」が施行され、事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮し、「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例が設けられました(2017年3月31日まで)。
ただし、消費者への配慮の観点から、その特例を受ける事業者はできるだけ速やかに「税込価格」を表示するよう努めることとされています。
しかし、不動産の価格表示は、「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」 第10条 (34) (38) で、消費税及び地方消費税が課されるときは、その額を含めて表示することとなっています。この「不動産表示規則」は、「消費税転嫁対策特別措置法」施行後も改正されず、不動産公正取引協議会は、消費税額を含んだ総額を表示するよう指導しています。
ですから、2013年10月1日から2017年3月31日までは、「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例が設けられていますが、不動産価格は、これまで通り総額表示とされています。
仲介手数料の払いすぎに注意
不動産取引における物件価格は、総額表示なので、消費税が含まれています。
注意しないといけないのは、
- 物件表示価格には、「課税対象の建物の価格」と「非課税取引となる土地の価格」が含まれている
- 仲介手数料を算出する基礎となる売買価格は、消費税を含まない
ということです。
つまり、仲介手数料の計算には、「建物の税抜価格」を算出する必要があるということです。
仲介手数料の計算方法
例えば、物件価格6,000万円(税込)の戸建住宅を不動産会社を通して取引する場合を考えてみましょう。
通常、不動産の表示価格は、総額表示ですから、物件価格6,000万円(税込)のうち、建物価格が2,700万円(税込)、土地価格が3,300万円(非課税)とします。
この場合、土地は非課税ですから消費税相当額は含まれていませんが、建物は税込価格です。
まず、物件価格の税抜価格を計算します。
建物の税込価格が2,700万円ですから、税抜価格は、
建物価格(税抜)
= 建物価格(税込) ÷ 1.08
= 2,700万円(税込) ÷ 1.08
= 2,500万円(税抜)
したがって、物件全体の税抜取引価格は、
取引価格(税抜)
= 建物価格(税抜)+土地価格(非課税)
= 2,500万円(税抜)+3,300万円(非課税)
= 5,800万円(税抜)
つまり、物件価格6,000万円(税込)で取引した場合、仲介手数料計算の基礎となる物件価格(税抜)は、5,800万円です。
この取引価格(税抜)をもとに、仲介手数料を簡易計算式で計算すると、
仲介手数料(税込)
= 物件価格(税抜)×3.24%+6.48万円
= 5,800万円×3.24%+6.48万円
= 194万4,000円(税込)
となります。
仮に、表示価格の6,000万円で仲介手数料を計算すると、200万8,800円となりますから、6万4,800円の払い過ぎということになります!