予定納税

 法人税や所得税、消費税などの決算申告を終了され、無事納税ができてホッとしていたら、予定納税の申告書が送られてきて、また納税かとゲンナリした。お客様から、こんな話を聞かせていただくことがあります
 経営者としては、決算確定時の納税だけでなく、予定納税の資金繰りにも気をつけなければなりませんが、今回はこの予定納税についての説明をさせていただきます。



《法人税の場合》
(1)中間申告書(予定申告書)の提出による方法
前事業年度の法人税額を基礎として、次の算式により月割で予定納税額を計算する方法です。

通常は、税務署や県・市町村などから中間(予定)申告期限1ヶ月位前に送付されてくる申告用紙に記載されている金額を同封の納付書で納税することになります。 上記の計算式で求めた予定納税額が10万円以下の場合は、中間申告及び納税は不要です。1年間の事業期間がある通常の法人は、年税額(法人税額)が20万円以下の場合、翌期の中間申告が不要となります。

(2)仮決算により中間申告書を提出する方法
期首から6ヶ月間を1事業年度とみなして仮決算を行ない、その利益または損失に基づいて所得金額及び法人税額を計算し申告・納税をする方法です。
上記(1)と(2)のいずれも確定申告で精算することになります。確定申告による法人税額が中間申告で納税した金額に満たないときには、その部分の法人税額は還付されます。

《所得税の場合》
その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額が、15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付しなければなりません。この制度を予定納税といいます。
予定納税が必要な方には、税務署からその年の6月15日までに予定納税額が記載された通知書がきます。前年の納税額の3分の1を第1期分として7月31日までに、第2期分を11月30日までに納税しておき、確定申告で精算するという方法をとります。

所得税には、中間申告という自主的な申告・納税方法はありません。あくまでも前年実績による賦課納税が原則なのですが、予定納税額を減額してもらうことはできます。今年の所得が前年と比較して少なくなる予定の人は「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出し、承認を受けます。1期分と2期分の減額ならば7月15日までに、2期分だけの減額ならば11月15日までに減額申請を行ないます。

《消費税の場合》
(1)中間申告書(予定申告書)の提出による方法

直前課税期間の確定消費税額
(地方消費税控除額)
48万円以下 48万円超~ 400万円以下 400万円超~ 4,800万円以下 4,800万円超
中間申告の回数 中間申告
不要
年1回 年3回 年11回
中間申告提出・納付期限 各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内 省略
中間納付税額 直前の課税期間の確定消費税額の1/2 直前の課税期間の確定消費税額の1/4 直前の課税期間の
確定消費税額の1/12
1年の合計申告回数 確定申告1回 確定申告1回
中間申告1回
確定申告1回
中間申告3回
確定申告1回
中間申告11回

(2)仮決算により中間申告書を提出する方法
上記に代えて、「中間申告対象期間」を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額及び地方消費税額を計算することもできます。
この場合、計算した税額がマイナスとなっても還付を受けることはできません。

※予定納税は、所得税法独特の言い方です。法人税法と消費税法には本来、予定申告・予定納税という言い方は無いのですが、慣習的に法人税も消費税も前年度の実績基準による納税を「予定納税」と表現しています。



http://asahi-gk.co.jp/keiri/019.htm


法人税の中間申告
 法人税の中間申告について説明します。
 
内容
 当期の法人税納付額が20万円を超えると、翌期に法人税の中間申告(法法71)と納付(法法76)をする必要があります。法人税の納付が遅れた場合、納付の日までの延滞税も納付する(通法60)ことになりますので、注意をしてください。
 
中間申告により納付すべき法人税額等の計算及び申告期限(納期限)
 (中間申告の提出期限(納期限))
 事業年度開始後6月を経過した日から2月以内となります。例えば、3月決算の会社なら、9月が中間決算月となり、11月末が申告期限となります。また、下記の額を納付する必要があります。
 なお、申告義務があるのに中間申告をしなかった場合は、前年度実績による額で申告があったものとみなし、下記の額を納付する必要があります(法法73)。
 
 (中間申告により納付すべき法人税額等の計算)
 納付すべき法人税額 = 前事業年度の納付法人税額×2分の1
 
直前の法人税の年税額 申告・納付回数
20万円超

	年2回

確定申告1回、中間申告1回)
20万円以下

	年1回

確定申告1回)
 
仮決算に基づいて申告・納付する場合
 上記の計算に代えて、「中間申告対象期間(半年間)」を一事業年度とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき法人税額を計算することもできます(法法72)。
 前期はものすごい利益が出たのだが、今期の上半期の業績が不調の場合は、仮決算をすれば当面の納付税額を圧縮することができます。
 ただし、決算処理をする必要があり、申告書の他に以下のような書類を添付するなど手間がかかります(法規33)。
 ○半年分の貸借対照表と損益計算書
 ○勘定科目内訳明細書
 ○資本積立金額の増減に関する明細書
 
確定申告による中間納付税額の調整
 中間申告による納付税額がある場合には、確定申告の際にその納付税額が控除され、差額を納付することになります。また、控除しきれない場合には、還付されることになります(法法79)。
 
地方税の中間申告
 地方税(住民税・事業税)の中間申告・納付は、法人税と連動します。ようするに、法人税で中間申告・納付をする必要があれば、地方税(住民税・事業税)でも中間申告・納付をする必要があります。
 なお、申告義務があるのに中間申告をしなかった場合は、法人税と同様に前年度実績による額で申告があったものと見なされ、納付する必要があります。(地法53、地法72の26、地法321の8)。
 
消費税の中間申告
 消費税の中間申告については、消費税の中間申告のページまで。


http://123k.zei.ac/kihonn/tyukan-hou.html


消費税の中間申告
 消費税の中間申告について説明します。
 
内容
 当期の消費税年額が48万円(地方消費税を含めると60万円)を超えると、翌期に消費税の中間申告(消法42)と納付(消法48)をする必要があります。消費税の納付が遅れた場合、納付の日までの延滞税も納付する(通法60)ことになりますので、注意をしてください。
 
中間申告により納付すべき消費税額等の計算及び申告期限(納期限)
 直前の消費税の年税額により、いくつかのグループに分けられます。
 
 ①前課税期間の消費税の年税額が4,800万円を超える場合(地方消費税を含めると6,000万円超)
 イ) 中間申告により納付すべき消費税額等の計算
 納付すべき消費税額 = 前課税期間の消費税の年税額×12分の1
 納付すべき地方消費税額 = 納付すべき消費税額×25%
 ロ) 中間申告の提出期限(納期限) 課税期間の初日以後1か月ごとに区分した各期間につき、その各期間の末日の翌日から2か月以内
 ただし、法人の場合には、その課税期間開始後の1月分は、その課税期間開始の日から2月を経過した日から2月以内(例えば、3月末決算法人の4月分は7月末日まで)
 
 ②前課税期間の消費税の年税額が400万円を超え4,800万円以下の場合(地方消費税を含めると500万円超6,000万円以下)
 イ) 中間申告により納付すべき消費税額等の計算
 納付すべき消費税額 = 前課税期間の消費税の年税額×4分の1
 納付すべき地方消費税額 = 納付すべき消費税額×25%
 ロ) 中間申告の提出期限(納期限) 課税期間の初日以後3か月ごとに区分した各期間につき、その各期間の末日の翌日から2か月以内
 
 ③前課税期間の消費税の年税額が48万円を超え、400万円以下の場合(地方消費税を含めると60万円超500万円以下)
 イ) 中間申告により納付すべき消費税額等の計算
 納付すべき消費税額 = 前課税期間の消費税の年税額×2分の1
 納付すべき地方消費税額 = 納付すべき消費税額×25%
 ロ) 中間申告の提出期限(納期限) 課税期間の初日以後6か月ごとに区分した各期間につき、その各期間の末日の翌日から2か月以内
 
 ※平成16年度4月1日前に開始した課税期間については上記①の適用がありませんので、②の「年税額が400万円を超え、4,800万円以下の場合」を「年税額が400万円を超える場合」と読み替えることになります。
 
直前の消費税の年税額 申告・納付回数
4,800万円超
(6,000万円超) 年12回
確定申告1回、中間申告11回)
400万円超4,800万円以下
(500万円超6,000万円以下) 年4回
確定申告1回、中間申告3回)
48万円超400万円以下
(60万円超500万円以下) 年2回
確定申告1回、中間申告1回)
48万円以下
(60万円以下) 年1回
確定申告1回)
()は、地方消費税を含めた場合
 
仮決算に基づいて申告・納付する場合
 上記の計算に代えて、「中間申告対象期間」を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額及び地方消費税額を計算することもできます(消法43)。
 なお、この場合、計算した税額がマイナスとなっても還付はできません(消基通15-1-5)。また、仮決算を行う場合にも、簡易課税制度の適用があります(消基通15-1-3)。
 
確定申告による中間納付税額の調整
 中間申告による納付税額がある場合には、確定申告の際にその納付税額が控除され、差額を納付することになります。また、控除しきれない場合には、還付されることになります(消法53)。
法人税の中間申告
 法人税の中間申告については、こちらのページまで。


http://123k.zei.ac/szei/tyukan-sh.html


消費税8%になって予定納税の計算はどう変わった?

2014.08.12

   消費税

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消費税が8%になって予定納税の計算方法はどう変わったのでしょうか?

国税部分はいままでと同じで、
確定消費税額が48万円超~400万円以下の場合は、6/12の額を年1回納付
確定消費税額が400万円超~4,800万円以下の場合は、3/12の額を年3回納付
確定消費税額が4,800万円超の場合は、1/12の額を年11回納付

変わったのは地方税部分です。
上記それぞれの1回分の納付額に地方税税率の17/63を乗じた額です。


確定消費税額が4,423,800円の場合の予定納税額は1,404,300円×3回で総額4,212,900円になります。
国税部分は4,423,800円×3/12=1,105,950円→1,105,900円
地方税部分は1,105,900円×17/63=298,417円→298,400円

消費税ソフトでも確認したので間違いなしです♪
でも、地方税率の17/63って覚えにくいですね・・・


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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:04