株式会社が100%自己株式を取得することの可否について

2006-06-13 22:41:59 | 会社法(改正商法等)
 6月12日付「全部取得条項付種類株式の功罪」について、葉玉さんから反撃を受けてしまった(^^)。http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50854708.html

 株式会社が100%自己株式を取得することの可否については、平成13年の金庫株解禁の折に、下記のとおり法務省の見解が示されており(郡谷さんも名を連ねておられる。)、私の立場は概ねこれに従うものである。自己株式の取得について、会社法では自由度が増したとは言え、旧商法時代の解釈を変更するだけの理由はないと考える。
 なお、「株主総会を開催する時だけ自己株式を株式会社以外の者に取得させ、その時以外は100自己株式にしておくことを容認できるとすると、同族会社の判定はどうなる?」という疑問もあるようだ。

(以下、引用)
 改正法は、取得価額の総額について制限を設けるだけで、取得できる株式の総数について制限を設けていない。これは、会社債権者の保護を図る観点からは、取得価額の総額につき配当可能限度額等の範囲内という制限をかけることで十分であって、取得株式の総数についてまで制限をかける必要はないためである。旧商法210条ノ2は、取締役等に譲渡するための自己株式の取得について、取得できる株式数を発行済株式総数の10分の1を超えることができないとしていたが、これは、自己株式の取得および保有を原則として禁止するという立場から、例外的にこれを許容する場合について政策的に一定の限度を設けたにすぎないものである。同様に、譲渡制限会社が先買権者の指定に基づいて自己株式を買い受ける場合についても、取得数の上限を画する規定(旧商法204条ノ3ノ2第7項後段)が削除された。

 なお、取得できる自己株式の総数に制限を設けないときは、会社が発行済株式のすべてを取得することにより、議決権を有する株式がなくなるという事態を招来することも考えられる。この場合、株式会社の必須の機関である株主総会が機能しないことになる。したがって、授権された取得価額の総額の範囲内であっても発行済株式のすべてを取得することは許されない。もっとも、発行済株式の総数を取得することができるとする株主総会の授権決議については、その後の新株発行等があり得ることから、ただちに無効ということはできない。


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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:38