消費税の課税事業者の条件と提出書類まとめ

2015/01/09

税率の引き上げで何かと話題になっている消費税ですが、事業上取引においても消費税は切っても切れない税金です。最近では、外国人観光客を相手に免税ビジネスを行う事業者も増えています。どのような場合に消費税の課税、免税が行われるのでしょうか?消費税と納税のしくみについてご紹介します。

消費税とは

消費税は、国内での物品の購入やサービスの提供といった取引や、海外からの輸入品に対して発生する間接税です。間接税とは、税金実際に支払う者と、申告・納付する者が異なる税金のことです。つまり、消費者から預かった消費税を事業者が代わりに申告・納税する場合を意味してします。消費税率は平成26年4月1日8%となり、内訳は国税6.3%、地方消費税1.7%となっています。国内すべての法人と個人事業主は、消費税の納税義務がありますが、一定の要件を満たせば免除されることがあり課税事業者と免税事業者という2つの立場に分かれます。

課税事業者と免税事業者の違い

2免税事業者の場合は、商売上の仕入れ等にかかった消費税額の控除が適応されないため、確定申告での還付は受けられません。国税庁が定める、所定の手続きを踏んで、免税事業者から課税事業者、課税事業者から免税事業者にための申請ができます。課税事業者と免税事業者の条件は以下のようになっています。
課税事業者

基準期間および特定期間において、課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者となり、消費税の納税義務があります。また、新設法人で資本金が1,000万円以上の場合は、基準期間がなくても課税事業者となります。

免税事業者

基準期間および特定期間において、課税売上高が1,000万円以下となる場合は免税事業者となり、消費税の納税義務はありません。比較的規模の小さい事業者が、消費税計算という煩雑な作業を負担にしないための制度です。消費税を納める必要がないといっても、実際は仕入に含まれる消費税相当額を支払っていることから、事業者は売り上げにもその相当額を通常上乗せしています。

また、免税事業者は事業内容によっても指定されています。社会保険医療などの取引、預貯金や貸付金の利子、土地や有価証券などがこれに該当します。そのほか、外国にある事業者への商品やサービスの提供を行う輸出事業では、輸出証明書を保管するなど一定の要件を備えることで販売商品は免税になります。非課税取引には消費税が課税されないため、その仕入れに対する消費税額を控除することはできなくなります。しかし、ある一定の要件が満たされた輸出や、輸出類似取引で行われた仕入れについては、仕入れに係る消費税額を控除できるケースもあります。

いつどのように、課税・免税事業者は決まるのか?

課税事業者か免税事業者かを判定する期間を「基準期間」と言います。個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度の1年間となります。基準期間のあいだ免税事業者と判定された場合は、さらに特定期間においても要件を満たす必要があります。個人事業者の場合は前年1月1日から6月30日となり、法人の場合は前事業年度の前半6ヶ月間となります(平成23年6月の消費税法改正により、免税事業者となるための要件が見直されました)。

新設法人が注意すべき点

新設法人で、1期目の事業開始時期が7ヶ月以下であった場合は、2期目の判定に関して特定期間はないものとみなされますので注意してください。例えば、3月決算の法人で前年10月に事業開始した場合は、特定期間の売上高は0円であり免税事業者となります。また、法人成りの場合も個人事業者と、法人成り後の法人は別々に考えますので、特定期間はないものとして判定します。
課税事業者が届けなくてはいけない書類について

課税事業者の届け出書類は、主に以下の3種類です。

1. 消費税課税事業者届出書

基準期間による判定で課税事業者となる場合は、「消費税課税事業者届出書」の提出が必要です。期限は特に定められていませんが、判定が出たら速やかに提出しましょう。また、判定によって課税事業者から免税事業者へ変更となる場合は、「消費税の納税義務者ではなくなった旨の届出書」を提出します。

2. 消費税課税事業者選択届出書

免税事業者であっても、あえて課税事業者を選択する場合は、「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要です。あえて選択する理由は、多額の控除税額がある場合に還付を受けるためであり、適用しようとする課税期間の開始前日までに届出書を提出します。なお、課税事業者を選ぶと、最低2年間は継続して適用する必要があります。さらに、この2年間で「調整対象固定資産」に該当する設備投資や不動産購入があった場合は、もう1年間課税事業者になります。3年間で消費税が納付となる可能性もあるので、慎重な判断が必要です。なお、選択を取りやめるには、免税の適用を開始したい課税期間の開始前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出します。

3. 消費税の新設法人に該当する旨の届出書

新設で基準期間がなくても、資本金が1,000万円以上の法人については課税事業者となりますので、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出が必要です。提出期限は特に定められていませんが、速やかに提出しましょう。なお、消費税の新設法人である旨を記載すれば、「法人設立届出書」を提出だけで済ませることも可能です。
還付について

受け取った消費税よりも、支払った消費税が多くなった場合は、支払い超過分を申告すれば還付を受けることができます。例えば、初年度の売り上げが少なくて経費がかさんだ場合や多額の設備投資、輸出業のため課税売り上げがほとんどない場合に還付ができます。還付を受けるためには、課税事業者であることが必須条件です。還付については「消費税還付の仕組みと還付される条件まとめ」に詳細を記載しています。

課税事業者と免税事業者のどちらが節税につながるかどうかは「消費税の節税は免税事業者と課税事業者はどちらが効果的?」を参考にしてください。

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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:44