2.株主提案権と総会招集について

 株主総会の株主提案権と総会招集については、下記のような改正が行われている。
 
 1.株主提案権の行使期限についは、原則としては株主総会の日の8週間までに請求する必要があるが、定款をもってこれを短縮することができるようになった。(会社法303条2項)
 これは、株主提案権行使の拡充を定款自治に任せるべきだとの考えにようるものと思われる。
 
 2.株主総会は定款に別段の定めある場合を除いて本店の所在地または、その隣接する場所で招集しなければならなかったが、これを廃止した。
 これは、最近では本店の所在地やその近辺に多くの株主がいるわけではなく広範囲に株主がいる場合が多いので、株主の利便性を考え、株主の集まりやすい場所で招集できるようにするため廃止されたと思われる。
 
 3.株主総会に係わる招集の手続及び決議の方法を調査させるため当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申し立てをすることができる。
 この検査役の選任を請求することができるのは、一定の要件を満たした株主のみであった。
 ただ、事前に株主総会が紛糾することが予想される場合などは、会社自身にも検査役の選任を請求できるようにして、総会手続の公平さを証明させた方が、後々問題が起こらないであろうということで、株式会社にも総会検査役の選任を請求することができるようにした。(会社法306条1項)
 
 そして、裁判所は、総会検査役の報告があった場合において、必要があると認める時は、一定の期間内に株主総会を招集することを命じなければならない。
 しかし、総会の招集には多額の費用と時間が掛かることから、招集命令を出しにくいといった事情があった。
 そこで、総会の招集に代えて、株式会社に対しその調査結果の内容を総株主に対して通知するよう命ずることができるようにした。(会社法307条)
 この通知を受けた株主は決議取消の訴えを提起するなどして、決議の効力を争うことができるようになる。
 
 なお、株式会社の業務の執行に関し、不正の行為または法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、一定の要件を満たす株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任を申し立てることができるが、この場合も株主総会の招集命令に加えて、調査結果の内容を総株主に対して通知するよう命ずることができるようにした。(会社法359条)
 
▲ 新会社法の改正ポイント
▲ 
< 
> 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:18:00