2.6 取締役・取締役会

1.取締役の資格・員数・任期について

 取締役の資格・員数・任期について、下記のような改正がされた。
 
 取締役の資格については、株式譲渡制限会社以外の株式会社は、定款をもっても取締役の資格を株主に限ることはできないものとされている。(会社法331条2項)
 したがって、株式譲渡制限をしている会社では、定款で株主に限る旨を定めることができる。これは、今までの有限会社で認められていたことである。
 譲渡制限をしていない会社では、不特定の株主が頻繁に入れ替わるので、取締役の人材を広く求めるべきであり、閉鎖的な株式譲渡制限会社では、その必要がないとの考えによるものと思われる。
 
 取締役の欠格事由から、破産手続開始の決定を受け復権していない者が外された。
 これは、経営していた会社が倒産し、会社の連帯保証人をしていた経営者自身も自己破産に追い込まれた場合でも、できるだけ早く再起ができるようにするためである。
 なお、会社経営者が自己破産をする場合、不動産などの財産が結構あるので、免責決定が出るのに時間が掛かり、再起が遅れるケースが多かった。
 
 これとは逆に証券取引法や各種倒産法制に定める罪を犯した者は、簡単に再起されては困るので、これらの罪を犯した者は、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年間は取締役になることができなくなった。(会社法331条3項)
 
 取締役の員数について、今までは3人以上が必要であったが、取締役会を設置しない株式会社の取締役の員数は、1人で足りるものとして(会社法326条1項)、今までの有限会社の機関設計を取り入れている。
 
 取締役の任期については、株式会社(委員会等設置会社を除く。)の取締役の任期は原則として選任後2年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとし、監査役の任期は選任後4年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとしている。(会社法332条・336条)
 監査役の任期の始期が「就任後」から「選任後」となっている点と取締役の任期が最終の決算期までが原則になったという点が改正点。
 
 ただし、株式譲渡制限会社については、定款で、これらの任期を最長選任後10年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時まで伸長することができるものとする。(会社法332条2項)
 今まで、有限会社では取締役の任期がなかったので、10年に伸長できるとしても規制強化になってしまった。
 なぜ10年なのかも意味不明。(会社法339条2項の取締役を正当な事由なく解任した場合の損害賠償の算定が困難になるので任期の定めを置いたとも云われているが、各界からの意見集約の妥協と考える。)
 
 休眠会社のみなし解散について、取締役の任期が最長10年以内になったので、今までの「5年」という期間については「12年」に延長した。(会社法472条)
 
 なお、最初の取締役の任期を1年以内としていた規定は廃止された。
 
 会計参与及び監査役の任期についても、公開会社でない株式会社においては、定款で10年に伸長できる。(会社法334条・336条)
 
 ただし、委員会等設置会社の取締役の任期は、選任後1年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までである。(会社法332条3項)
 
 また、次に掲げる定款変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款変更の効力が生じた時に満了したものとみなすものとされる。(会社法332条4項)
 1 委員会等設置会社となる旨の定款変更
 2  委員会等設置会社となる旨の定款を廃止する旨の定款変更
 これは、委員会設置会社の取締役と委員会設置会社でない会社の取締役とでは、その権限が全く違うからである。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
▲ 第2章 株式会社関係
▲ 2.6 取締役・取締役会
< 
> 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:17:58