語学初心者が挫折するのには理由があった

語学初心者が挫折するのには理由があった…100言語マスターが指南する「最強のノート活用術」

4/20(日) 7:03配信

現代ビジネス
(Photo by getty images)

外国語を勉強してみたい。だけど何から始めればいいか分からない。教科書選びに文法習得、単語の暗記、アプリの使い方…どこまでやればいいのか見当がつかない。チャレンジしてみたけど、挫けてしまった。そんな人は多いのではないだろうか。

【画像】100言語マスターによる「外国語独習のすすめ」

『外国語独習法』では、100の言語をあやつる若き天才学者が初めて明かした「絶対に挫折しないための50のルール」を収録している。

※本記事は4月24日発売の大山祐亮『外国語独習法』の一部を抜粋、編集したものです。この記事では第3章『教材はこうやって選ぶ』からルール15を紹介します。

ルール15　ノートは書き散らすためにある
教材と単語帳、辞書が決まったら、次に用意するのはノートです。紙のノートには、大学ノートのような最初から綴じられているタイプと、独立した一枚一枚の紙を自分で整理して綴じるルーズリーフのタイプがあります。個人的には前者の大学ノート型がおすすめです。ルーズリーフだと「あとでまとめて綴じればいいや」と思ってクリアファイルで管理しているつもりでも、気がつけば何枚かどこかになくしてしまったり、ノートの順番がわからなくなってしまうことがあるからです。

さらに、いまはタブレットをはじめとした電子媒体のノートもたくさん発売されています。電子ノートはワードのように文書ファイルに打ち込む形式と、専用のペンを使って手書きのように書き込めるタイプがあります。私は、後者の「書き込みタイプ」が外国語学習に向いていると考えています。たしかに「打ち込みタイプ」は手書きよりも楽に、多くの文字が打ち込めます。ですが、文書ファイルにタイピングするのは効率が良すぎるので、頭の中に内容が入ってくる前に入力が終わってしまうのです。肝心の記憶の助けになってくれません。ちゃんと内容を記憶しようと思うと、やはり手書きしながらのやり方がいいでしょう。

そもそも、なぜ外国語学習にノートが必要なのでしょうか。それはノートを「記憶の補助」として使うためです。教科書を眺めるだけで内容を記憶できる人は、ほとんどいません。大抵の人は、見て、書き写して、音読して、というアプローチを繰り返してようやく記憶として定着させることができます。語学に限っては、ノートはまとめるより書き散らすつもりでとるのが良いです。語学で必要になるのは理解よりも記憶なので、ノートはあくまで書いて覚える作業のために使うものと心得ましょう。

みんなここで挫折する
語学の挫折ポイントは、覚えきれないという点にあります。たとえばフランス語やドイツ語には名詞の性というものがあります。フランス語の場合は男性名詞と女性名詞、ドイツ語の場合には男性名詞・女性名詞に加えて中性名詞があります。名詞の性というと生物学的なものを想像しがちなのですが、そうではありません。あらゆる名詞が、非生物も含め、必ずどれかのカテゴリーに入ります。人間を表す単語は生物学的な性と名詞の性がおおむね一致しますが、非生物については無秩序です。生物学的な性や、ものに関するイメージからはまったく予測できない形で性が割り振られます。同じ「本」という単語でも、フランス語のlivreは男性名詞、ドイツ語のBuchは中性名詞、チェコ語のknihaは女性名詞です。

名詞の性に関わる文法規則自体は単純です。名詞の性と数に合わせた定冠詞や形容詞をくっつける、ただそれだけです。女性名詞の単数形なら女性単数形の定冠詞をつけます。フランス語の定冠詞は男性形がle、女性形がla、複数形が男女ともlesですから、男性名詞のlivre「本」ならle livre、女性名詞のgrammaire「文法」ならla grammaire、そしてlivreの複数形livresならles livresとなります。

問題は、フランス語やドイツ語の場合、数はともかく、性のほうは単語の形から判別がつかないことです。つまり、livreは男性名詞でgrammaireは女性名詞、といったことは単語ごとにいちいち記憶しなければなりません。

この「いちいち記憶しなければならない」要素が多いほど、その言語の学習は面倒になります。ドイツ語やフランス語の名詞性以外だと、アラビア語の名詞の複数形やペルシア語の動詞の現在形の作り方などは、単語ごとに記憶しなければなりません。

語学では、「規則なんてないからとにかく覚えろ！」となることが現実としてよくあります。ですので、ノートのもつ記憶の補助としての側面が、語学では重要になってきます。

（出典等）