原付免許で125ccクラスにも乗れるの!? 議連主導で関係省庁が調整を開始

2022年11月29日

市本行平

原付免許で乗れるバイクが50ccより大きくなるかも知れない。全国オートバイ協同組合連合会の大村会長は、11月25日の総会で「このままでは50cc存続の危機、解決策の協議が進んでいます」と公言した。果たして原付の何が課題で、どう解決するのか? 独自取材を基に解説したい。
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現状では2025年に50ccモデルの供給が途絶える

2022年10月末で期限を迎えた令和2年排出ガス規制は、原付1種(~50cc)のみ2025年10月末までの猶予が与えられている。本来は同じ期限が設定されていたが、全国オートバイ協同組合連合会(AJ)の働きかけなどによって、3年延長されたのだ。

そうでなければ今の時点で新車の50ccバイクが全て生産終了していたのが現実。代わりにヤマハの原付電動スクーター「E-ビーノ」を選ぶとしたら、満充電32kmの走行距離で使い勝手が異なるだけでなく、ジョグの17万500円に対して31万4600円と負担が増すのだ。

原付モデルの排ガス規制対応の期限がこれ以上延長されることはないので、3年後までにこの課題を解決する必要があり、AJと日本自動車工業会から自民党オートバイ議員連盟に以下の3つの案が提言された。

①現行50ccモデルを令和2年排ガス規制に対応させる
排気ガスを浄化する触媒(キャタライザー)の特性から50ccの排気量では炭化水素(HC)の削減が困難で規制クリアが難しい。

②設計最高速を50km/hに制御し、排ガス規制対応しない
一般的な50ccモデルは60km/hが設計速度になっているが、ジャイロキャノピーなど50km/hを設計速度としている一部モデルは過去の平成18年排ガス規制をクリアしていれば、生産可能となっている。

一般的な50ccモデルもこれに合わせて50km/hに落とすことで存続可能となるが、速度を制御すると加速/登坂性能に大きく影響し、商品性が損なわれてしまう。

③125ccクラスのモデルを最高出力を4kW以下(案、50cc相当)に制御する
125ccクラスは触媒温度を高めて浄化性能を発揮させるまでの時間が短く規制対応が可能。また、最高出力制御であれば加速性能はほぼ同等で商品性は損なわれない。

50ccクラスと125ccクラスの車重や車格に大きな違いはなく運転特性も同等。さらに1機種の販売規模は、アジア地域では50~200万台あり国内50ccの2.5万台規模よりもコスト的なメリットが期待できる。

――日本自動車工業会によると2021年の原付保有数は465万台、販売が12万7000台の規模となり、利用者の乗り換え需要を満たすには、価格や性能面も含めて電動車だけには頼れないのが現状。これら3つの選択肢から解決策を探ることになったのだ。
最高出力4kW(5.4PS)以下であれば125ccクラスでも原付扱いに!?

結果的に③案が選択された模様で、議連と経産省、国交省、総務省、警察庁間の調整がこれから始まる段階と思われる。今回の提言はAJと日本自動車工業会の連名で、メーカーの立場からも現実的な解決策となっており、最高出力4kW(5.4PS)以下という数値が案として提示されたのは注目だろう。

③案は、ダックス125といった趣味モデルに4kW(5.4PS)以下の出力制御をかけることではなく、アジアなどで販売されている低コストの125ccクラスを“原付化”すること。価格や5.4PS以下のエンジン出力(タクトは4.5PS)で、現行50ccモデルと同等の商品性とするのが狙いだ。

提言は、電動車も含めて最高出力4kW(5.4PS)以下という新たな区分を設けることにより、原動機の種類にとらわれず、「安い、簡単、便利」という原付ならではの商品性を将来に渡って持続的に提供しようとするものだ。2023年中を目標とする法令等が定まれば、新しい原動機付自転車の開発がスタートするだろう。

2024-04-09 (火) 10:19:00
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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:00